巨人と玩具 1958年　監督：増村保造　主演：川口浩　野添ひとみ 衣裳構成：真木小太郎　衣裳：原　貞一
玩具からのしあがった女の サテンシルクのワンピース （物語） ワールド製菓の宣伝マン西（川口浩）は過激なやり口の課長（高松英郎）のもとで、メーカー間の熾烈な宣伝合戦に挑もうとしていた。そんな時、虫歯だらけの少女京子（野添ひとみ）を見出す。無名の彼女をキャラメルのキャンペーンガールに仕立てて利用していくが・・・。 音楽でいうならば、ひたすらフォルテッシモ（ｆｆ）。そして終始アップテンポ。猫の目のように変化するシーン展開のめまぐるしさ、機関銃のように発射されるセリフ。まるで漫画のようなデフォルメされた登場人物たち。ひたすら何かに突き動かされていく彼らの姿は笑うどころか胃が痛むような勢い。 現代に生き、かつメーカー勤務の自分としては、宣伝部の課長が小売業者の温泉接待なんかするわけないじゃーん、とか、ライバル会社に同情する信欣二、人がいいにもほどがあるのでは？とか、いっぱいつっこみどころはある。しかし、戦後社会が落ち着きを取り戻し、急速な勢いで企業競争がはじまった当時としては、メディア合戦とはいままでにない未知の衝撃だったのだろう。 なさけないぼっちゃん然とした、川口浩の青臭さはかなりイタイ。そして、高松英郎はもっとイタイ、というかすさまじい。辞令に鮮血のインパクト、キスしろ命令、宇宙服着るランニング＆パンツ姿のみっともなさ。 一方で、女たちのしたたかさ、賢さには目を見張る。野添ひとみの野放図に育った天衣無縫な少女から、その後への豹変ぶり。（いや、彼女の言い分ってのはしごくもっともなことだったりする。）川口浩の恋人でライバルメーカーの宣伝ウーマン、小野道子もなかなかのキャラである。プロポーズをされても「貧乏はいや、おたがいだましあいながら愛しあっていきましょう、長持ちするかもよ」なんて、人生の割り切り方が潔くて、川口浩のどんくささに比べてかなりの聡明ぶり。そして、ラストの川口浩へささやく姿、ただの冷たい女でないとこが、また、いいではないですか。 その他、印象的なところとして、金をつかんだ野添ひとみの一家の引越。子供たちが背広着てジュース飲んだり、煙草吸ったり、三輪車乗ってて、あまりの極端さに笑う。あと、フルコーラス挿入する必要はない思われるのに延々続く、野添ひとみのヘンな土人の踊りと歌はいったい？	有名になって名声を得た後に喫茶店に登場する野添ひとみのスーツ姿。はじめサングラス姿で登場。芸能人っぽい。 スーツは薄いブルーグレーの光沢のある生地で、シルクサテンぽい。広めのスタンドネックに前あきボタンでシンプル。タイトのシルエットが大人に成長した女を象徴している。ジャズのステップを踏みだす白いハイヒールも、スーツによく合っている。 このシーン、金髪で登場です。ヘアピースと思われるのですが、前髪がぐりんぐりんでスゴい頭です、実際。
川口浩と本屋にいるシーンの青いドレス。いかにも「玩具」らしい、まるでお人形のような、ハデなドレス。スカートは6段のティアード。いかにも、安っぽいアイドルっぽさ、頭の弱い少女っぽさを出しつつ、芸能界で騒がれはじめたアイドルの「あかぬけ方」が表現されているような。
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