乾いた花 1964年　監督：篠田正浩　 主演：池部良　加賀まりこ　藤木孝 衣裳：東京衣裳(ノンクレジットだが森英恵が参画)
片袖で賭場を捌くためのジャケット （物語） 出所したばかりのヤクザ・村木(池部良)は賭場で大胆な勝負をする冴子(加賀まりこ)に出会った。そして再び二人は賭場で勝負をする…。 タイトル通り、まさに「乾いた」デカダンスを漂わせる松竹ヌーベルバーグを代表する作品。虚無感を抱えた池部良がゲキ渋な上に、加賀まりこが愛らしいマスクの下に同じような虚無感を抱えながらもスリルに渇望する謎の女を演じて、この２人のキャラクターに魅了される。 賭場のシーンは細密で濃密、音楽は止まり、花札を切る音に緊迫感が。そして、その中の加賀まりこがまるでぱっと咲いた花に可憐でありながら「乾いた」硬質な美しさを湛え、不思議な存在感を放っているのが印象的。 純喫茶好き、建築好きとしては、今はなき新宿の名曲喫茶「王城」の内部ロケに興奮。いや、このシーンは映画的にもすばらしくて、ここだけずっと繰り返し観ていたいぐらい。	賭場のシーンでの加賀まりこのツーピース。森英恵のデザインによるもの。ノースリーブのインナーは襟・袖口部分の生地と同じ。ジャケットを脱ぎ片袖を肩にかけ、もう片方の片腕をノースリーブからのぞかせて花札を捌く。このシーンのために仕立てられたかのようなスーツなのである。 また賭場に持ち込むバッグ、この当時の女もののバッグにしては大きめで厚みがあるのは、賭け金をゴッソリ入れているから！
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