春の夢 196０年　監督：木下恵介　 主演：岡田茉莉子　東山千栄子　久我美子 衣裳：田口ヨシ江
引き裂かれる恋に嘆く令嬢の紫のブラウス （物語） 舞台は製薬会社の社長(東野英治郎)宅のお屋敷、そしてその台所は今日も騒がしい。お手伝いが焼き芋屋(笠智衆)をお屋敷に呼び入れたばかりに騒動が始まって…。 センチメンタルな抒情あふれる名作や大作をつくった木下恵介監督なのに、こんな実験的かつ軽妙でシニカルな群像劇の映画があったとは、と改めてその作風のバリエーションの豊かさに驚かされる佳品。 主にお屋敷の中で繰り広げられる舞台劇風のプロット。場面ごとにとっかえひっかえお屋敷を訪れる人々たちは木下一流の毒味を持ってカリカチュアライズされている。貧乏人もブルジョワもどっちもひと癖ふた癖もある人たちが往来する中、恋に恋が、そしてさらに昔の恋まで重なっていく。…な中で、当時の世相を反映して製薬会社にストが襲来…ってなんだかまったく先の読めない展開に目が離せない。 個人的にチャームを感じたのは久我美子のオールドミスの秘書と丹阿弥谷津子の男食いの長女、でした。
	赤紫の光沢のあるブラウスに黒いビロードらしきスーツの岡田茉莉子。共布の帽子もセットで誂えている。ブラウスは薔薇のコサージュがついており、赤いルビーのようなカフスがついていてエレガント。屋敷内の照明のピンクともマッチしている。
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