あした晴れるか 1960年　監督：中平康　主演：石原裕次郎　芦川いづみ　中原早苗
ツンデレ女史の黒縁眼鏡とスラックス （物語） 若手カメラマン三杉（石原裕次郎）はフィルム会社から「東京探検」の企画をオファーされる。撮影には宣伝部員のみはる（芦川いづみ）がお目付け役として同行することになった。２人の行く先々にはさまざまなハプニングが起こる・・。 モダニスト中平康監督のスピード感あふれる痛快作。変わり行く高度経済成長期の東京を舞台にライトタッチのコメディが繰り広げられる。裕次郎はさわやかでかっこいいし（この頃の裕ちゃんは極私的にはまあ許容範囲内）、中平組のキモ、中原早苗も抜群のコメディエンヌぶりだし、藤村有弘、殿山泰司、東野英治郎、安部徹、草薙幸二郎（「街燈」に続いて黒シャツのチンピラ！）などのベテラン脇役陣の軽快な演技も光る。日活らしく、ラストにかけてアクションも盛り込まれるが、これもあくまでスパイス。なんだかわからないフレッシュなエネルギーの奔流に最後まで押されちゃうのだ。 ・・で、なんといっても、この映画の主役は、ズバリ芦川いづみでしょう。伊達の黒縁眼鏡とスラックス姿で、なめられないように虚勢を張るキャリアウーマン。まさにめがねっ娘萌え＆ツンデレのハシリ。実は好意を寄せてるが、プライドと意地から、石原裕次郎に喧嘩をふっかける。そして、裕次郎に粉をかけるバーの女中原早苗に喧嘩をふっかける。その喧嘩の早口の会話の応酬、そのテンポのよさ。どなったり、すねたりの彼女の声やしぐさがまた実にいいのだ。 芦川に対抗するバーの女給の中原早苗もいい味を出している。「なによ眼鏡かけてるからってえらそうにしないでよ」とか「なによ、オデコ」という芦川への攻撃・・。まるで子供の喧嘩だ（笑）。一流のコメディエンヌ。 秋葉原のやっちゃ場、深川八幡宮、佃の桟橋、銀座の街角（ケテルや樽平など今も現存する店も映る）など、東京風景も見どころ満載。まさに「東京探検」も楽しめます。	才女芦川いづみは、実は伊達だという黒縁眼鏡に時折手を寄せる、ツンツンした表情がかわいい。３回素顔が見えるシーンがあり、このチラ見せがニクイ。 ブルーのジャケットとスラックスのセットアップは色があざやか。ややダボっとしているダサさ加減がいい。実はスラックスから見せる足が（中華屋のシーンで足が出てくる）、また美しいかったりする。
バーの女給、中原早苗はなぜか色黒でタヒチアンかポリネシアンのよう（なぜここまで黒い？・笑）。今でいう盛りヘアに、ちょろんとした細いお下げというヘンな髪型。ドレスも胸の大きく開いたピンクの水玉で派手目。黒いテーピングのリボン結びが、キュートなアクセントになっている。コミカルでエネルギッシュな役にマッチしたドレスだと思う。中平映画の中原早苗のはっちゃけぶりはステキだ。「ホブノーブ！」と彼女とカンパイしたい！
トップへ戻る